事故物件購入のメリット・デメリットは?注意点や購入後の活用方法なども解説

事故物件という言葉を耳にしたことがある方も多いかと思いますが、その購入を検討する際には、慎重な判断が求められます。事故物件とは、過去に事件や事故があった物件で、一般的に心理的な負担を伴うため、市場価値が低くなりがちです。しかし、その一方で、通常の物件よりも安価に購入できるため、リフォームや賃貸経営を視野に入れて検討する人も少なくありません。本記事では、事故物件の購入に際して知っておくべきメリットとデメリットを具体的な事例を交えて解説し、特に注意すべきポイントや購入後の活用方法について詳しく説明します。

この記事を読んで分かること
・事故物件のリスクとメリット
・事故物件を購入する際の注意点
・資産運用としての事故物件の有用性

事故物件の購入はやめたほうがいい?

事故物件の購入は多くの人にとって慎重に考えなければならない大きな決断です。特に精神的な負担や、購入後の売却の難しさ、周囲からの視線などが問題となる場合が多いです。株式会社AlbaLinkが行った【事故物件に住みたくない理由ランキング】では、約90%の人が賃貸住宅でも事故物件かどうかを気にすると回答しており、事故物件を購入する場合は特に過去の事件により住み続けることが難しくなることも考えられます。また、事故物件は一般的に周辺住民からの偏見や、物件に対する不安が広がりやすいため、売却する際にも苦労することが多いです。

さらに、将来的な資産価値の低下も無視できません。事故物件は心理的な瑕疵があるため、通常の物件と比べて市場での評価が低くなりがちです。これは、今後の資産運用や賃貸経営を考える際にも大きなリスクとなります。たとえば、事故物件を購入して賃貸に出した場合、借り手がつかないことや、賃料を大幅に下げざるを得ない状況に陥る可能性が高いです。このような点を考慮すると、事故物件の購入は避けるべきだと結論づけられます。

そもそも事故物件とは何か

事故物件とは、過去に自殺や殺人、火災、特殊清掃が必要になった死などが発生し、心理的瑕疵があるとされる不動産物件のことです。事故物件が心理的瑕疵を持つ理由は、そこで発生した過去の出来事が原因です。こういった物件は事故物件として取り扱われており、心理的な影響を受ける可能性があるため、購入者や借主に対してその事実を告知しなければなりません。こうした物件は通常の物件と比べて価格が安く設定されることが多いですが、精神的な負担を感じる人も少なくありません。

事故物件購入のメリット

事故物件にはリスクがある一方で、いくつかのメリットも存在します。以下に、事故物件購入の代表的なメリットを挙げて解説します。

  • 条件の良い物件でも安く購入できる
  • 競争率が低いためじっくり考えることができる
  • フルリフォームされていて綺麗な場合が多い
  • 賃貸経営を考えているなら高い利回りも期待できる

これらのメリットを具体的に見ていきましょう。

条件の良い物件でも安く購入できる

事故物件の最大の魅力は、通常の物件と比較して価格が大幅に安いことです。特に、都市部で条件の良い物件であっても一般的な相場と比べて、事故物件の価格は30%~50%も安いことがあります。これは、予算に限りがある人にとって大きな魅力となります。さらに、購入後のリフォーム費用を加味しても、通常の物件と同等か、それ以下のコストで済むことが多いです。

購入金額リフォーム金額合計金額
通常の中古物件3,000万円250万円
3,250万円
事故物件1,500万円250万円1,750万円

※水回りのみをリフォームした場合の目安

上記、表のように価格面のメリットを活かすことで、事故物件でもお得な買い物ができる場合があります。

競争率が低いためじっくり考えることができる

事故物件は、通常の物件と比べて購入するのに忌避感を抱く人が多く、購入希望者が少ないため、競争率が低いという特徴があります。これにより、購入を検討する際に、他の購入希望者との競争に急かされることなく、時間をかけてじっくりと物件の状態や条件を確認することができます。物件の状態をしっかりと把握し、価格やリフォームの見積もりなども比較検討することで、リスクを最小限に抑えた購入が可能となります。

フルリフォームされていて綺麗な場合が多い

事故物件の中には、過去の事故や事件を理由に、売却前にフルリフォームされている場合が多くあります。特に発見の遅れた孤独死などでは清掃するだけでは落ちない染みや臭いが残ることが多いため、新築同様の状態にまでリフォームされた物件を購入できる可能性があります。外観や内装が一新されている事故物件は、物件購入後に追加のリフォーム費用をかける必要がない場合があり、結果的にコストを抑えられることがあります。

賃貸経営を考えているなら高い利回りも期待できる

事故物件は、同じ条件の物件と比較して割安で購入できるため、初期投資を抑えることが可能です。購入価格が低ければ、利回りも効率的に向上させることができます。通常、事故物件は立地や築年数などが似た物件に比べて、価格が20〜30%ほど安くなる傾向があります。また、物件購入費や減価償却費を経費として計上することで、所得を圧縮することができ、不動産投資を副業とする場合、赤字分を本業の所得と損益通算することで、節税につながります。不動産投資において、事故物件は節税効果も得られる一つの選択肢となるでしょう。

事故物件購入のデメリット

事故物件にはいくつかのメリットがある一方で、やはりデメリットも無視できません。以下に、事故物件購入時に考慮すべき主なデメリットを挙げて解説します。

  • 売却や賃貸が難しくなる
  • 精神的ストレスがかかりやすい
  • 契約後は心理的瑕疵を理由にキャンセルはできない
  • 近隣住民と距離を置かれる可能性がある
  • 肝試しに使われるなどトラブルに巻き込まれる可能性がある
  • 住宅ローンの審査が通りにくい

これらのデメリットを理解し、リスクに備えることが重要です。

売却や賃貸が難しくなる

事故物件は、購入後に売却や賃貸が難しくなるという大きなデメリットがあります。たとえば、過去に発生した事件や事故の記録が残っている物件は、その事実を告知しなければならず、買い手や借り手が見つかりにくくなることが多いです。特に日本では、心理的な影響を重視する文化が強く、事故物件に対する抵抗感が一般的です。事故物件は通常の物件と比べて売却が難しいため、将来的な資産価値の低下を懸念する必要があります。

また、事故物件を売却や賃貸する際には、告知義務に関して注意が必要です。告知義務とは物件内で発生した事件や事故についての情報を、購入者や借主に伝える義務のことです。以下は事故物件の告知義務について表にまとめたものです。

分類告知義務が生じるケース告知の範囲告知義務の期間
賃貸の場合自死、他殺、火災による死亡、発見の遅れた孤独死など次の入居希望者おおむね3年間
売却の場合自死、他殺、火災による死亡、発見の遅れた孤独死など購入希望者期間の定めなし

この義務を怠ると、トラブルや訴訟に発展する可能性がありますので、事故物件の売却や賃貸を考える際には、専門家に相談することも検討しましょう。

精神的ストレスがかかりやすい

事故物件に住むことや所有することによって、精神的なストレスを感じる可能性が高いです。特に、家族や周囲からの反応、さらには物件に対する潜在的な不安が大きなストレス源となります。たとえば、過去に殺人事件が発生した物件で暮らす場合、その場所で何が起こったのかを知っていることで、不安や恐怖を感じることがあります。また、事故物件は住民や周辺住民からの偏見や、物件そのものに対する不快感がつきまとうこともあります。これらの心理的な要因は、住み続けるうえで大きな障害となり、精神的な負担を増大させる可能性があります。

契約後は心理的瑕疵を理由にキャンセルはできない

事故物件と認識して購入した後は、心理的瑕疵を理由に契約を解除することはできません。実際に住み始めた後で、想像以上に精神的負担が大きかったり、近所の人々から避けられるような状況に直面したとしても、それを理由に契約解除や損害賠償を求めることは認められません。このような問題を未然に防ぐためには、契約前に物件の過去の経緯や詳細情報を十分に確認し、慎重にリサーチを行うことが重要です。特に心理的瑕疵に関しては、購入前に物件の状況や過去の履歴について詳細な説明を受け、納得した上での決断が求められます。また、購入後のトラブルを回避するためには、契約の段階で心理的要因に関する確認を怠らないことが大切です。物件の歴史や現状を理解した上で購入を進めることで、後々の後悔や問題発生を防ぐことができるでしょう。

近隣住民と距離を置かれる可能性がある

事故物件に住むことは、周囲の住民からの偏見や誤解を受ける可能性があり、結果として近隣住民との間に距離ができることがあります。過去の事件や事故が原因で、その物件が悪いイメージを持たれている場合、周囲の住民はその場所を避ける傾向があります。たとえば、地方の小規模なコミュニティでは、事故物件の所有者や住民が孤立するケースも報告されています。こうした社会的なプレッシャーは、特に家族がいる場合、子供の学校や地域での生活に影響を与える可能性があります。そのため、近隣住民との良好な関係を築くためにも、こうしたリスクを考慮することが重要です。

肝試しに使われるなどトラブルに巻き込まれる可能性がある

事故物件は、その特異な背景から、肝試しなどの目的で不法侵入やいたずらの対象になることがあります。特に、過去に有名な事件が発生した物件は、興味本位で訪れる人々によってトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。例えば、かつて東京都世田谷区で発生した一家殺害事件があった物件では、肝試しに訪れる若者が後を絶たず、物件の所有者が警察に通報する事態が続きました。このようなトラブルは、物件の管理コストを増大させ、精神的な負担にもつながります。物件を購入する前に、このようなリスクを十分に考慮し、防犯対策を検討することが重要です。

参考元:世田谷一家殺害事件の現場に高校生10人侵入…「肝試し感覚」「事件のことはよく知らない」

住宅ローンの審査が通りにくい

事故物件を購入する際に注意すべき点として、住宅ローンの審査があります。審査時には、金融機関に重要事項説明書や売買契約書を提出する必要がありますが、そこに告知事項が記載されていると、一部の金融機関では融資を断られる可能性があります。特に、反社会的勢力が関与している事務所が物件の近くにある場合や、過去にそのような事務所が存在していた場合、融資が拒否されやすいです。

心理的瑕疵に関する告知事項については、金融機関の保証会社の判断によって対応が異なりますが、一般的に金融機関はこうした物件を嫌う傾向があります。仮に土地や物件を自己資金で全額購入できるなら問題はありませんが、土地は現金で購入し、建物の建設費を住宅ローンで賄おうとする場合、金融機関は「土地は自己資金だから建物のローンには影響しない」とは見なしません。金融機関は土地と建物の両方を担保として評価するため、土地の売買契約書や重要事項説明書の確認を求めます。その際に、事故物件であることが理由で「担保価値がない」と判断され、建物のローンであっても融資を断られるケースがあるのです。このため、物件購入前には金融機関の対応をしっかり確認しておくことが重要です。

資金が潤沢にある人は事故物件の購入もおすすめ

資金が潤沢にある人にとっては、事故物件の購入がメリットをもたらす場合もあります。特に、長期的な資産運用やリフォームを視野に入れた投資目的であれば、事故物件を安く購入し、リノベーション後に賃貸経営を行うことで高いリターンを得られる可能性があり、事故物件でも適切な投資計画と十分な資金があれば、成功するケースも少なくありません。資金に余裕があり、リスクを取れる人にとっては、事故物件の購入も一つの選択肢となります。

事故物件を購入する際の注意点

事故物件の購入には、注意すべきポイントがいくつかあります。

  • なるべく心理的瑕疵の軽い物件を選ぶ
  • 長期的に所有できる物件かどうかを確認する
  • 不可解な現象が起きる可能性を考慮する
  • インターネットにどの程度情報が載っているか調べる

リスクを軽減し、賢明な意思決定を行うためには、これらの点をしっかりと考慮してください。

なるべく心理的瑕疵の軽い物件を選ぶ

事故物件を購入する際には、できる限り心理的瑕疵が軽い物件を選ぶようにしましょう。たとえば、殺人事件や自殺があった物件よりも、孤独死や事故死など比較的負担が軽いとされる瑕疵を持つ物件の方が、精神的にも居住しやすく、将来的な売却時のハードルも低くなります。実際に、株式会社AlbaLinkが実施した「事故物件に住むのはありかなしかについての意識調査」でも、「あり」と答えた人の72%が孤独死を、57%が事故死を許容範囲と答えていました。また、家族や特に子供に与える影響を考慮すると、できるだけ負担の少ない物件を選ぶことが家族全体の精神的な安心感にもつながるでしょう。

さらに、物件の心理的瑕疵が比較的軽い場合、住宅ローンの審査も通りやすくなる可能性があります。金融機関によっては、心理的瑕疵がある物件に対するローンの審査基準が異なるため、購入前にしっかりと物件の履歴を確認し、金融機関に相談しておくことが重要です。

長期的に所有できる物件かどうかを確認する

事故物件を購入する際には、長期的に所有できるかどうかを事前に確認することが重要です。たとえば、建物自体の状態、物件の立地条件や周辺環境、今後の地域の発展可能性を評価することで、将来的にその物件の資産価値が維持できるかどうかを判断することができます。また、事故物件であっても、周辺に学校や商業施設が充実している場合、需要が一定以上あるため、長期所有しても問題がないケースも考えられます。

不可解な現象が起きる可能性を考慮する

事故物件に住む際に注意すべき点の一つが、過去に起きた事件や事故に関連して、不可解な現象が発生する可能性があることです。こうした現象は科学的な説明が難しいことが多く、人によっては精神的な負担となります。このような体験は、特に家族と一緒に住む場合、日常生活に支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。

ただし、これらの現象が実際に起きるかどうかは物件によりますが、購入前にできるだけ物件の過去の状況を把握し、リスクを考慮することが大切です。また、事前に近隣住民や不動産業者から物件に関する詳細な情報を収集し、納得のいく形で購入を進めることが精神的な負担を軽減する手段となります。

インターネットにどの程度情報が載っているか調べる

事故物件の購入前には、インターネット上で物件に関する情報を徹底的に調べることが必要です。過去の事件や事故に関する情報が広く公開されている場合、将来的に物件を賃貸に出す際や売却する際に不利になる可能性があります。たとえば、有名な殺人事件が発生した物件は、ニュースサイトやブログで情報が残っていることが多く、購入者や借主が容易に調べられるため、心理的なハードルが高くなることがあります。

そのため、購入前にインターネット上で物件に関するニュースや過去の履歴を調査し、どの程度の情報が公開されているかを確認することが重要です。事故物件に関するサイトでは「大島てる」が有名ですが、誤情報が掲載されている場合もあるためこちらは十分に注意しながら閲覧してください。また、物件に関連する情報が多く出回っている場合、購入後にその情報が拡散される可能性もあるため、リスクを考慮しながら意思決定を行いましょう。

まとめ

事故物件の購入には、コスト面でのメリットや賃貸経営における高い利回りが期待できる一方で、精神的な負担や将来的な売却リスクなどのデメリットも多く存在します。特に、「安価での購入」「リフォーム後の賃貸運用」を視野に入れる場合、物件の選択やリスク管理が非常に重要です。価格の安さに引かれて購入するだけではなく、慎重にリサーチを行い、購入後の長期的な視野を持った計画を立てることが成功の鍵となります。

最終的には、事故物件であっても適切なリスク管理と投資計画を持つことで、資産運用の一環として成功させることができる可能性もあります。しかし、リスクとリターンを十分に比較し、家族の安全や精神的な安定を最優先に考慮して、賢明な判断を下すことが大切です。

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