空き家再生ビジネスとは?成功事例や活用できる補助金も紹介

「空き家があるけど何か活用方法はない?」

「そもそも空き家再生ビジネスは成功するの?」

空き家を放置し、特定空き家に認定されてしまうと固定資産税が通常よりも多くかかってしまいます。

これを防ぐためにも空き家をリフォームやリノベーションして活用することが大切です。

この記事では空き家再生ビジネスの詳細や空き家再生を行うべき理由、再生した空き家の活用方法のほか、成功事例や活用できる補助金について紹介します。

空き家再生ビジネスとは?

空き家再生ビジネスは、リフォームやリノベーションで再生させた空き家を賃貸に出したり売却したりするビジネスです。

不動産業界においても、以前から「買取再販」という形で仕入れた土地や建物をリフォームし、再販するビジネスが存在しています。空き家再生ビジネスはこの買取再販の手法を取り入れているのが特徴で、経済的にも優秀なビジネスと言えます。

空き家再生を行うべき7つの理由

空き家再生ビジネスを行うべき理由として、以下のようなものが挙げられます。

  • 老朽化した空き家は資産価値が下がる
  • 空き家を維持するだけで費用がかかる
  • 特定空き家に指定されて行政指導が入る
  • 倒壊リスクや近隣トラブルの可能性
  • 空き家が犯罪に利用される可能性
  • ゴミが不法投棄される可能性
  • 子や孫に負の遺産を残したくない

空き家は老朽化が早く資産価値も下がりやすいため、資産価値が高いうちに空き家再生ビジネスとして活用する人も多いです。

また、誰も住んでいない空き家でも税金や水道光熱費などの維持費用がかかります。行政から特定空き家に指定されると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がったり、50万円以上の罰金が課せられたりと金銭リスクは高いです。別の視点で見れば放置された空き家は倒壊リスクも高いため、万が一損害が発生した場合には近隣住民から損害賠償を求められるケースもあるでしょう。

このほかにも、空き家が犯罪に利用されることやゴミの不法投棄の現場になるケースは少なくありません。いずれにせよ、空き家は子や孫にとっては負の遺産となり得るため、ビジネスとして活用すべきと言えるでしょう。

ではここで、空き家を放置した場合のデメリットを解説しつつ、空き家再生ビジネスを行うべき理由についてさらにくわしく解説していきます。

老朽化した空き家は資産価値が下がる

戸建住宅の場合、築後20年で資産価値がほぼゼロになると言われています。

特に空き家の場合、換気不足や害虫、雨漏り、給排水管の劣化などで全体的に老朽化が進みやすいです。老朽化した空き家は売却しにくいため、資産価値が下がらないうちに処分するほうが賢明な判断と言えるでしょう。

空き家を維持するのに費用がかかる

たとえ人が住んでいなくても、空き家には固定資産税や水道光熱費がかかります。管理代行を依頼するなら、なおさら維持管理費が必要です。

メンテナンス次第で維持管理にかかる費用も変わりますが、住んでいない家に年間数十万もの維持費を払い続けるのは大きな損失といえます。維持管理し続けるかビジネスとして活用するか、それぞれの費用をシミュレーションしてみるとよいでしょう。

特定空き家に指定されて行政から指導がくる

放置した空き家は行政から「特定空き家」に指定される可能性があり、そのまま放置し続けると罰則の対象となります。

特定空き家とは、倒壊や衛生的な危険性が高い状態の空き家のことです。近隣住民へ悪影響を与えると判断された際、行政から以下の流れで指導が入ります。

  • 空き家の調査
  • 特定空き家の認定
  • 所有者への指導
  • 所有者への勧告
  • 所有者への命令
  • 行政代執行

勧告を無視すると固定資産税が最大6倍にまで増額したり、命令を無視すると50万円以上の罰金が命じられたりと、所有者にとって良い状況とは言えなくなります。放置している空き家があれば、行政指導が入る前に空き家の処分や活用を検討する必要があるでしょう。

倒壊が起きると近隣住民から損害賠償を請求される

空き家が倒壊し隣家や通行人に被害を与えた場合、空き家の所有者は被害者に対しその損害を賠償する責任があります(民法第717条)

もしも空き家の倒壊が原因で近隣住民の死亡事故が発生した場合、数百万円から数億円にまで及ぶ高額な損害賠償を請求される恐れもあるでしょう。

空き家問題は、自分だけではなく近隣住民の一生を奪いかねません。取り返しがつかなくなる前に、何らかの対処は必要と言えます。

空き家を放置することで犯罪に利用されやすくなる

空き家は人目につきにくいぶん、不法占拠や放火、違法植物の栽培など犯罪の温床になりやすいです。

警察庁の発表によると、2023年の刑法犯で住居などへの侵入犯罪は5万5269件、そのうち空き家への侵入犯罪は8,189件と高水準であることがわかっています。なにより自分が所有する物件に知らない人が出入りしている、というだけでも嫌悪感を抱かずにはいられないでしょう。

犯罪の温床を防ぐためにも、空き家は放置しないでおくべきです。

空き家にゴミを不法投棄されてしまう可能性がある

犯罪と同じく、人の目につきにくい空き家はゴミを不法投棄されやすく、さまざまなトラブルを引き起こします。

たとえば敷地内に溜まったゴミが悪臭を放ったり、ハエやネズミなどの害虫・害獣が発生したりと、空き家だけではなく近隣住民にまで被害が広がります。手つかずの空き家は、周囲に迷惑をかけ続けることになるのです。

こうしたトラブルを防ぐために、空き家の処分や活用は大きな意味を持っています。

子や孫に負の遺産を相続することになる

これまでに説明した理由から、空き家は“負の遺産”と言われることがあります。固定資産税や管理費を払い続けなくてはいけない、売りたいのに売れない、近隣住民からクレームがくるなど、相続後もさまざまな苦難が待ち受けていることでしょう。

財産ではなく、負の遺産である空き家を子や孫に残すのは避けたいものです。将来のことを考えても、空き家は放置すべきではありません。

再生した空き家の活用方法

一口に空き家再生ビジネスといっても、その活用方法はさまざまです。

  • 賃貸として活用
  • 自分で住む
  • 商業施設にする
  • 土地活用を行う

このように空き家をビジネスとして活用すれば、家賃が浮いたり収益化が期待できたりとメリットが生じます。

ここで、再生した空き家の活用方法についてくわしく解説していきましょう。

賃貸として活用する

空き家を賃貸として誰かに貸し出すことで、家賃収入が得られます。空き家の固定資産税が発生しても、家賃収入があれば採算が取れるでしょう。

リフォームやリノベーションを施すことで借り手も見つかりやすくなりますが、そもそも空き家のリフォーム・リノベーションは費用も高額になりがちです。手元に十分な資金がない場合は、資金を増やしてから賃貸活用を検討しましょう。

自分で住む

収益化ではなく固定費の節約を目的に、空き家に住む方法もあります。

賃貸に住んでいるなら家賃の削減、持ち家に住んでいるなら固定資産税や維持管理費の支払いが2軒分から1軒分になるのがメリットです。浮いた費用のぶんだけ家計も豊かになります。

一方、先述の通り空き家のリフォームやリノベーションには多額の費用がかかります。土台や柱などを交換するレベルなら1,000〜2,000万円ほどかかるので、十分な資金を確保しなくてはならないでしょう。

民泊など商業施設にする

放置した空き家は、居住用としては快適でなくても商業施設として活用できる可能性があります。

たとえばネイルサロンやエステサロンなど、プライベート空間が必要な施設なら空き家も活用しやすいです。

また、民泊用に再生して宿泊施設として貸し出す方法もあります。立地が良くない場合はお客さんがつきにくい場合もありますが、収益化が目指せる点では大きなメリットがあるとも言えるでしょう。

一方、自ら事業を始める場合は収益管理や集客などのビジネススキルも必要です。赤字運営のリスクを伴うぶん、ビジネスとしての難易度も高いので注意しましょう。

土地を活用する

空き家を取り壊して更地にすれば、駐車場や太陽光発電所、資材置き場、トランクルーム、貸地としても十分活用できるでしょう。また、更地にすることで特定空き家に指定される可能性もなくなります。

一方、建物を解体すれば住宅用地の特例の対象外となるため、固定資産税が

6倍になる点に注意が必要です。収益化に失敗すれば高額な固定資産税を払い続けることになり、金銭的な負担も増えます。

土地活用をしたいなら、慎重に検討する必要があるでしょう。

空き家再生ビジネスを行うメリットとデメリット

空き家再生ビジネスは、活用次第で収益化・資産化を目指すことができますし、自治体にとっても倒壊や犯罪のリスクが減らせるメリットがあります。

一方、ビジネスである以上必ずしも成功するとは言い切れません。空き家再生ビジネスに興味があるなら、デメリットの側面も知っておく必要があるでしょう。

ここで、空き家再生ビジネスを行うメリット・デメリットについてくわしく解説します。

空き家再生ビジネスを行うメリット

空き家再生ビジネスを行うメリットは、おもに以下の2つです。

  • 家賃収入が得られる
  • 特定空き家に指定されにくくなる

家賃収入を得ることができる

空き家を賃貸に出したり、土地活用をしたりすることで安定した家賃収入が得られます。空き家には固定資産税や維持費用がかかりますが、収益化によってマイナスからプラスへ運ぶことが可能です。

また、空き家再生ビジネスで得られる収入は不労所得となるため、生活にゆとりが生まれます。株式投資のように価値が暴落する心配もなく、定期預金や国債よりも大きな収入になるのが魅力です。

「特定空き家」に指定されにくくなる

倒壊リスクのある空き家を放置すると、特定空き家に指定される可能性が高くなります。

自治体から処分を受ければ、土地の固定資産税が上がったり、50万円以上の罰金が科せられたり、最終的には建物が強制的に取り壊されて高額な解体費用を請求されたりとリスクが高いです。

特定空き家に指定されるくらいなら、自ら活用・売却して現金化したほうが良いと言えるでしょう。

空き家再生ビジネスを行うデメリット

空き家再生ビジネスのデメリットは、おもに以下の2つです。

  • 修繕費用などがかかる
  • 借り手が見つかるとは限らない

賃貸人として修繕の費用が掛かる

もしも空き家を他人に貸し出す場合、貸し出した本人が賃貸人として修繕費を負担しなければなりません。民法上、賃貸人には修繕義務が課せられているからです。

築年数の古い空き家は、賃貸事業を始めた直後から修繕費が発生することもあります。新築物件を運用するよりも、修繕費用の負担はずっと大きいです。

収益化をするなら、最初から修繕費の回収を計画しておくとデメリットも回避できるでしょう。

条件によっては借り手が見つかりにくい

築年数が著しく古かったり、立地が悪かったりすると借り手がつきにくくなります。特に、空き家は賃貸事業に適さない場所に存在していることが多く、活用しにくい状況と言えます。

立地は変更しようがありませんが、築年数の古さはリフォームやリノベーションでカバーすることが可能です。費用は高額になりますが、借り手を見つけるために有効な方法と言えるでしょう。

空き家再生ビジネスの成功事例を紹介

ここで、空き家再生ビジネスの成功事例についてご紹介します。

引用:https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/02/020707/03.pdf

会員制の民宿として再生した事例です。

開業資金の約半分は行政の補助で賄っており、宿泊費だけでなく会費を徴収することで開業資金の回収を図っています。

引用:https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/02/020707/03.pdf

移住希望者などを対象に、空き家の紹介事業を行っている事例です。

利用希望者と空き家提供希望者を仲介することで、地域の活性化を図っています。所有者の立場なら、こうしたマッチング事業を利用したり空き家バンクを利用したりすることで、借り手がつきやすくなります。

空き家再生ビジネスでは補助金が利用可能

空き家再生ビジネスには、以下2つの補助金が利用できます。

  • 空き家を活用(リフォーム)する際に利用できる補助金
  • 空き家を除却(解体)する際に利用できる補助金

活用する補助金は全国で利用できる反面、除却する補助金は人口減少が認められる市町村に限定されているのが特徴です。いずれの場合も地方自治体への申請が必要になりますが、空き家再生ビジネスを行う上で大きな補助となるのは間違いありません。

条件等は、各自治体の担当窓口に確認しましょう。

空き家再生ビジネスに関するQ&A

最後に、空き家再生ビジネスに関するよくある質問をまとめました。

空き家対策は誰が所管している?

国土交通省です。

国土交通省のホームページでは、空き家対策の現状や調査結果を公開しています。空き家再生ビジネスを検討するうえで必要な情報が掲載されているので、目を通しておきましょう。

空き家の倒壊に補助金は出る?

空き家を解体する際、自治体の補助金制度を利用することが可能です。

利用条件こそあるものの、解体費用の約5分の1から2分の1程度助成されます。空き家を解体する際は、各自治体に申請しましょう。

空き家を解体すると固定資産税はどうなる?

空き家を解体して宅地が「住宅用地」ではなくなると、固定資産税が最大6倍にまで高くなります。また固定資産税だけでなく、都市計画税も最大3倍にまで高くなるので税負担が増えます。

税負担を減らすためにも、空き家再生ビジネスを検討すべきと言えるでしょう。

空き家があるなら再生ビジネスを始めるのがおすすめ(まとめ)

空き家再生ビジネスは、所有する空き家を賃貸に出したり、土地活用したりすることで収益を得ることが可能です。

空き家は、ただ所有するだけでも固定資産税や維持管理費用がかかります。また倒壊リスクの高い空き家は特定空き家に指定される可能性も高くなり、将来の金銭的負担が大きいです。住む予定がない空き家があれば、再生ビジネスをおすすめします。

空き家再生には、自治体の補助金制度を利用できる場合があります。くわしくは各自治体の担当者に相談しましょう。

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