空き家の固定資産税が6倍!?いつから始まるのかと増額を避けるための対策まで解説

「相続した空き家を所有しているけど、今の固定資産税が上がるって本当?」
「固定資産税の増額を減らす方法ってないの?」

このように空き家の固定資産税が増額する話を耳にして、不安に感じている人は少なくないのではないでしょうか。空き家の固定資産税は「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律により最大6倍にまで増額となる可能性があり、その時期も迫ってます。この記事では、

  • 固定資産税の増額はいつからなのか
  • 固定資産税が増額する条件は何なのか
  • 増額を回避するための対策はあるのか

など、空き家を有効活用する固定資産税の増額に関するポイントをわかりやすく解説します。

固定資産税が6倍になるのはいつから?

空き家の固定資産税が6倍に跳ね上がるのは、2024年以降と言われています。これは2023年12月から特定空き家だけではなく、管理不全空き家も固定資産税が6倍になると法改正で定められたからです。

とはいえ、空き家に対していきなり固定資産税が6倍になるわけではありません。増額の開始時期は指定された年度の始まりからとなるため、所有者は事前に対策を講じることが肝心です。ここからは、

  • 固定資産税が6倍になるタイミング
  • 特定空き家と管理不全空き家とはどんなものか

について、さらにくわしくご紹介します。

固定資産税が6倍になるタイミング

空き家の固定資産税が6倍に跳ね上がるのは、行政から「勧告」を受けた翌年からです。行政指導・処分の具体的な流れは、地方自治体が空き家を調査・認定し、所有者に対して改善や利用促進を求める助言や指導を行います。改善が行われなければ勧告となり、一定の期間内に対応が見られなかった場合は翌年度の固定資産税の課税額が増額されることになります。

空き家の適切な管理や活用が社会問題となっていることから、このような制度が設けられているのです。勧告後の対応によって固定資産税の増額を避けられるため、注意が必要です。

特定空き家と管理不全空き家とは

特定空き家とは危険な状態にある、または周囲の環境に悪影響を与える恐れのある空き家を指します。具体的なケースは次の通りです。

  • 建物の老朽化が進んで倒壊の危険がある
  • 衛生状態が著しく悪い
  • 放置により犯罪の温床になっている など

一方管理不全空き家は、所有者が適切な管理を行っておらず、草木が生い茂るなどの状態を指します。つまり、今後特定空き家に指定される可能性がある空き家です。

管理不全空き家に関しては基準が明確化されておらず、国が定めたガイドラインをもとに自治体が決定します。所有している空き家が管理不全空き家に該当するか知りたい場合は、空き家の所在地(住所)を管轄する自治体に確認しましょう。

固定資産税が6倍になる空き家の特徴とその理由

固定資産税が高くなる理由は、空き家の放置による治安の悪化や街の景観の低下を防ぐために、所有者に対する負担を強化し、早期の解体や再利用を促すためです。また重税化の施策は自治体によって施行時期が異なりますが、多くは空き家対策の条例を根拠としているのが注目点です。

ここで固定資産税が6倍になる可能性が高い空き家の特徴について、具体例とともにその理由についてくわしく解説します。

衛生上有害のおそれがある

害虫の発生源やゴミの堆積など、空き家の不衛生な環境が近隣住民の生活環境を損なう可能性がある場合は、衛生上有害と判断されます。空き家の衛生問題は管理不足によって起こるため、所有者の責任として固定資産税の増額対象となる可能性が高いです。この問題を避けるためにも、空き家の適切な管理や活用を検討する必要があるでしょう。

倒壊の可能性や保安上の危険がある

長期間放置された空き家は建物構造の老朽化が進み、倒壊の可能性が高まります。この状態は通行人に対する怪我のリスク、また近隣への火災の延焼リスクを高めるなど、地域全体にとっても保安上危険です。地域の安全を確保し、放置された空き家の問題を解消する目的で、自治体による増税課税の対象となることがあります。

周辺住民の生活環境の保全を放置している

放置された空き家は見た目の荒廃だけでなく、害虫や野生動物の住処となり、衛生的な問題を引き起こす可能性があります。また不法投棄の場と化し、犯罪の温床にもなりかねません。このような状況を放置することは、周辺住民の生活環境の保全を無視した行為であり、地域コミュニティの安全と安心を揺るがす行為であり、自治体による増税課税の対象となることがあります。

きちんと管理されず著しく景観を損ねている

荒れ放題の庭や壊れた窓ガラス、剥がれた外壁のペンキなど、適切に管理されていない空き家によって著しく景観を損ねている場合、近隣の住環境にも悪影響を及ぼします。住民トラブルを防ぐためにも、放置された空き家に対して固定資産税が最大6倍に増額される可能性があります。

空き家の固定資産税が6倍になる流れ

固定資産税は行政からの指導や勧告を受けた後、一定期間内に改善が見られない場合に最大6倍に増額されます。具体的な流れは次の通りです。

  • 自治体が空き家と認定される
  • 所有者に通知して勧告の内容に応じた措置を講じるよう求める
  • 一定期間(通常は6ヶ月から1年)に措置がとられない場合、特定空き家として認定される
  • 翌年度から固定資産税が引き上げられる

固定資産税が増額してもなお行政の勧告を無視し続けると、勧告から命令に切り替わり、従わない場合は50万円以下の罰金が課せられる流れになるので注意が必要です。また最終的には自治体が空き家を取り壊すことになり、かかった取り壊し費用は所有者に請求されます。これを行政代執行といいます。

特定空き家に指定されるということは、固定資産税が跳ね上がるだけではなく、行政執行という重いペナルティが課せられる可能性があることを知っておきましょう。

一方で特定空き家や管理不全空き家の固定資産税は段階的な流れで増額が決まるため、事前に空き家の管理や活用をしておくことで増税を避けられる可能性があります。もっとも、自治体からの助言・指導があった時点で改善に取り組めば特定空き家の指定もなくなるため、解決に向け早めの段階で対応することが重要なポイントです。

空き家の固定資産税が6倍になるのを避ける方法

空き家の固定資産税が6倍に増額される事態を避けるためには、

  • リフォームなどで周辺に合わせた適切な管理をする
  • 空き家バンクや補助金など自治体の制度を活用する
  • 管理会社に不動産管理を依頼する
  • 業者へ売却して資金化する
  • 賃貸として活用して資金化する
  • 所有者以外の親族に住んでもらう

などのように空き家の有効活用が求められます。

固定資産税は不動産の評価額をもとに税額が決まるため、空き家の状態が良いほど税金の負担も少なくなります。リフォームや管理にかかるコストが不安でも、自治体の支援制度を活用することで空き家の維持管理がしやすくなるのも知っておきたいポイントです。また今後も空き家に住む予定がなければ、家屋を売ることで固定資産税の支払い自体を回避する選択肢もあるでしょう。

ここで空き家の活用方法と固定資産税の増額を抑える対策法として、6つの方法とそのポイントをくわしくご紹介します。

リフォームなどを行い周辺に合わせた適切な管理をする

リフォームにより周辺環境に溶け込むデザインへ改修すると、税評価額が安定し、結果的に固定資産税を抑えられる可能性があります。リフォームのメリットは、空き家の価値を保ちながら、将来の利用計画も立てやすくことです。そのためにこそ計画的な改修と継続的なメンテナンスが空き家管理における重要なポイントといえます。

自治体の制度を利用して空き家を活用する

自治体の制度やサービスを受けることで、空き家の状況に応じた支援策が受けられたり、補助金を支給してもらえたりとさまざまなメリットがあります。地域ごとにより助成の内容は異なりますが、一般的な支援策については次の通りです。

  • リフォーム・改修費用の補助|空き家を住居や店舗として再利用する際の経済的負担を軽減
  • 解体費用の補助|空き家の解体を促進するために、解体費用の一部を補助する
  • 家賃補助|賃貸人に対して家賃補助を行い移住者や若者の定住を促進する
  • 空き家バンク制度|空き家の所有者と購入希望者をマッチングする
  • 相談窓口・コンサルティング|改修計画の立案や補助金の申請サポート、不動産仲介のサポートなど

自治体の支援策を利用すれば、固定資産税の増額を避けるのみならず、地域経済の活性化にも貢献する可能性があります。特に助成金制度は、リフォームや管理のコストに不安をいだいている人に嬉しいメリットと言えるでしょう。それぞれの条件については、各自治体の担当者にしっかりと確認することをおすすめします。

空き家の問題は都市部や地方に関わらず、日本全国で社会的な課題となっています。そもそも固定資産税の増額は、使用されていない空き家問題を解消するための施策として行われるため、自治体も積極的に支援してくれるものと考えて良いでしょう。自治体との相談を通して必要な情報を入手し、空き家の有効活用に向けた具体的なステップを踏み出しましょう。

不動産管理会社に管理を依頼する

不動産管理会社に管理を依頼するメリットは、

  • 物件の資産価値を守ることができる
  • 適切な管理により固定資産税評価で「特定空き家」に指定されるのを防ぐことができる

などです。専門の不動産管理会社は空き家の日常的な点検、必要な修繕、セキュリティの向上が期待できるため、税負担が増えるリスクが減らせます。

一方で、管理会社へ支払う利用料も必要です。相場は月10,000円程度ですが、年間に支払う固定資産税の金額と照らし合わせて検討するとよいでしょう。

業者へ売却する

将来にわたって空き家状態が続くようであれば、手放すことで固定資産税そのものの支払いを回避できます。特に空き家の状態が比較的良い場合はそのまま売却しやすく、解体費用もかかりません。売却のポイントは、

  • 適正な価格で取引すること
  • 必要最小限の修繕をする

などです。

適正価格で取引するために、実績のある不動産業者を通じて市場価値を把握する必要があります。また清掃や必要最小限の修繕を行うことで、買い手に良い印象を与えることができます。

もし空き家の築年数が古い場合は、空き家を解体して更地にし土地として活用するのも一つの方法です。思わぬ形で査定額がアップする可能性もあるでしょう。一方使い勝手が良くなり買い手が見つかりやすくなるものの、解体費用がかかることや解体によって固定資産税の特例が受けられないデメリットもあるので、ささいな悩みでも不動産会社や専門家などへ相談してみるとよいでしょう。

賃貸として活用する

空家の状態によってはリフォームすることで賃貸物件として活用できる場合もあります。また更地にすることで月極駐車場やコインパーキングとして活用するのも良いでしょう。

賃貸として活用すれば毎月安定した収入を得ることができ、リフォームや解体にかかった費用、毎年の税金の負担を相殺することができます。

所有者以外の親族に住んでもらう

所有者以外の親族が住む場合、特定空き家の指定を回避することができるため、住宅用地の特例を維持するとともに、固定資産税が最大6倍に増えるのを防ぐことができます。第三者に賃貸として貸し出すことを考えると、つながりのある親族に住んでもらうことは安心感が大きいとも言えるでしょう。

まとめ

社会問題となっている空き家問題の増加に対処するため、特定空き家と管理不全空き家に指定された場合は固定資産税が6倍に増額される可能性があります。しかし増額は段階的なステップを踏んで決定するため、空き家の管理や活用により増税を防ぐことも可能です。空き家を賃貸や売却に出す、リノベーションして自ら利用する、適切な管理を行い特定空き家に指定されないようにする等、対処法にも選択肢があります。自治体の制度や管理会社のサポートなどを積極的に活用し、固定資産税の増額を回避しましょう。

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