空き家買取の相場は?業者に高く売るコツやメリット・デメリットを解説

親族から不動産を相続したけど、活用方法がなく空き家になっているケースも多いのではないでしょうか。また、空き家の管理や利用方法に悩んでいるにもかかわらず、買取相場が分からないのが原因でなかなか手放せない方もいるかもしれません。

そこで本記事では、空き家買取の相場や業者に高く売るコツを解説します。空き家買取のメリット・デメリットも紹介するので、空き家買取を利用するべきか悩んでいる方は参考にしてください。

この記事を読んで分かること
・空き家買取の相場
・空き家を高く買い取ってもらう方法
・空き家買取のメリット・デメリット

空き家買取の相場は市場価格の5〜8割ほどになるケースが多い

一般的に空き家買取の相場は、市場価格の5〜8割程度と言われています。例えば、市場価格が2,000万円の不動産の場合、約1,000〜1,600万円が売却価格になります。

価格が低くなる理由としては、不動産会社が買い取った空き家をリフォームしたり、再販したりするための費用や利益を考慮しているからです。特に取り壊しが必要な場合は、5割程度と低くなるケースが多いです。

さらに、以下のような土地や建物の状態、立地条件によっても買取価格は大きく変動します。

  • 土地や建物の状態: 広さ・形状・築年数・老朽化の程度・リフォーム履歴
  • 立地条件: 駅からの距離・周辺環境・利便性

例えば、築年数が古く老朽化が進んでいる空き家は、修繕費用がかかるため、買取価格が低くなる傾向があります。また、再建築不可の土地や、土壌汚染などの問題がある場合は、市場価格の5割よりも低くなるケースもあるでしょう。

多くの空き家買取業者は無料で簡易査定を行なっているため、売却を検討している場合は、試しに依頼してみると良いでしょう。

空き家買取のデメリット2

空き家買取には、以下のようなデメリットが挙げられます。

デメリットを理解したうえで、空き家買取を利用するか検討しましょう。

仲介よりも安くなりやすい

空き家買取では、仲介で売却する場合と比べて買取価格が安くなる傾向があります。不動産会社が買い取った空き家を再販するために、リフォームや修繕などの費用を負担する必要があるからです。

少しでも高く空き家を売りたいと考えている方は、仲介による売却も視野に入れて検討すると良いです。仲介では、なかなか買い手が見つからない点がデメリットですが、市場の需要と供給に基づいて価格が決定されるため、買取よりも高値で売却できる可能性があります。

空き家を売却する際は、仲介と買取業者の双方を視野に入れておくのがおすすめです。

買取不可となるケースもある

空き家の状態によっては、不動産会社に買取を断られてしまうケースもあります。例えば、以下のような空き家は買取不可となる可能性が高いです。

  • 再建築不可の物件
  • 土壌汚染対策法に基づく指定区域内にある物件
  • 著しい老朽化や破損が見られる物件
  • 権利関係が複雑な物件

自身の空き家が上記に当てはまる場合でも、まず専門の買取業者に相談してみましょう。専門家に相談することで、相続や境界線に関するトラブルを解決したり、新たな需要を見つけたりして買取が可能になるケースもあります。

空き家買取のメリット5つ

空き家買取には、以下のようなメリットがあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

仲介手数料がかからない

空き家を買取に出す場合は、売主と買主の間に不動産会社が入らないため仲介手数料が一切かかりません。

一方、空き家を仲介で売却する場合、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は売買価格に応じて変動し、高額になるケースも少なくありません。

売買契約による仲介手数料は「宅地建物取引業法」で段階的に上限が定められています。具体的な料率は、以下のとおりです。

売買価格仲介手数料の上限
200万円以下の部分売買価格の5% + 消費税
200万円超400万円以下の部分売買価格の4% + 消費税
400万円超の部分売買価格の3% + 消費税

例えば、1,000万円で売却した際の仲介手数料は、以下の計算式で求められます。

200万円以下の部分:200万円×5%+消費税(10%)=11万円(税込)
200万円超400万円以下の部分:200万円×4%+消費税(10%)=8.8万円(税込)
400万円超の部分:600万円×3%+消費税(10%)=19.8万円(税込)
仲介手数料(合計)=11+8.8+19.8=39.6万円(税込)

空き家買取では上記のような仲介手数料がかからないため、その分売却による利益が大きくなります。

即日に現金化できる可能性がある

空き家買取では、最短で即日現金化できる可能性があります。仲介とは違い不動産会社が直接買い取るため、買主を探す必要がなく、売買契約が成立しやすいからです。

ただし、即日現金化できるかどうかは、空き家の状態や権利関係、不動産会社の状況によって大きく異なります。売却価格に関係なく、早く現金化したい事情がある場合は、買取業者に相談してみると良いでしょう。

空き家にある不用品を無料で処分してもらえる

空き家買取では、空き家内の不用品を無料で処分してもらえます。不用品の処分は、費用も手間もかかるため、無料で行ってもらえるのは大きなメリットです。

ただし、不用品の種類や量によっては、別途費用が発生する可能性もあります。例えば、廃車や大型家具などの処分が難しいものや、トラック1台に積めない量がある場合です。予め買取業者に不用品があることを伝えて、無料で処分してもらえるかを確認しておきましょう。

売却活動に時間や手間がかからない

空き家を仲介で売却する場合、買主を探すための広告活動や内覧対応など、多くの時間と手間がかかります。

一方、空き家買取では、売却活動はほとんど必要ありません。買取業者に査定を依頼し、買取価格に同意すれば、すぐに売買契約を締結できます。

仕事や家事などで忙しい方でも、スムーズに空き家を売却できるのは大きなメリットだと言えるでしょう。

契約不適合責任を負うリスクが低くなる

空き家を買い取ってもらうと、契約不適合責任を負うリスクが低くなります。契約不適合責任とは改正民法で制定された制度で、契約不適合と判断された場合は、買主は請求権を持つことができるというものです。

例えば、雨漏りやシロアリ被害などの売主が知らなかった瑕疵が見つかった場合、修繕費用を負担したり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。

しかし、空き家買取の場合は買取業者がプロの目で物件の状態を査定し、瑕疵のリスクを考慮したうえで売買活動を実施するため、トラブルに発展する可能性が低くなります。

また、買取業者によっては「契約不適合責任を一切負わない」といった条件下で契約締結してくれるケースもあるため、売却後のリスクを減らしたい方は相談してみると良いでしょう。

空き家を少しでも高く買い取ってもらう方法5選

空き家を少しでも高く買い取ってもらう方法は、以下の5つです。

上記のポイントを意識して、少しでも高く空き家を買い取ってもらいましょう。

仲介と買取の両方を視野に入れておく

空き家を売却する際は、仲介と買取の両方を視野に入れておくことが大切です。

仲介は、不動産会社が間に入り、買主を探す方法です。市場価格で売却できる可能性が高い一方、売却までに時間がかかるというデメリットがあります。

買取は、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。仲介よりも売却価格は安くなる傾向がありますが、すぐに現金化できるというメリットがあります。

どちらの方法が適しているかは、空き家の状態や売却の希望条件によって大きく異なります。仲介と買取の双方で売りに出してみて、買取価格や条件などを比較したうえで最適な方法を選びましょう。

空き家買取に特化した業者に依頼する

き家買取を専門に行っている業者に依頼すると、より高値で買い取ってもらえる可能性が高くなります。

特にこれまでの買取実績が豊富な業者は、独自の販売ルートを持っている場合があります。そのため、一般的な不動産会社よりも高値で買い取ってくれやすいです。

また、空き家買取に特化した業者は、不用品処分や相続問題などの空き家売却に関するさまざまな問題に対応してくれる場合が多く、売却をスムーズかつ安心して進められます。

外装・内装ともにできる限りきれいな状態で売りに出す

外装・内装ともに空き家の状態が良いほど、買取価格は高くなりやすいです。

特に、水回りや壁紙などは、清潔感が重要です。また、庭の草刈りや不用品の処分なども事前に行なっておくと、買取業者に良い印象を持ってもらえます。

空き家を買取に出す際は、外装・内装ともにできる限りきれいな状態で売りに出しましょう。

複数の買取業者で見積もりを取り比較する

空き家を高く買い取ってもらうためには、複数の買取業者に見積もりを依頼し、買取価格を比較することが重要です。

業者によって査定基準や買取価格が異なるため、複数の業者から見積もりを取ることで、より高値で買い取ってくれる業者を見つけられます。また、相場よりも大幅に低い価格で買い叩かれるリスクも減らせるでしょう。

空き家を買取に出す際は、最低でも3社ほどの見積もりを比較すると良いです。

事前に相場を調べて交渉する

事前に周辺の取引事例や相場を調べておくと、交渉を有利に進められます。例えば、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」やインターネットでの検索で簡単に調査可能です。

ある程度の相場を理科しておくと、相場よりも低い買取価格を提示された場合に、根拠を尋ねて交渉できます。

ただし、 無理な交渉は買取を断られてしまうリスクもあるため、最後の手段として考えておきましょう。

空き家の買取を専門の業者に依頼した際の流れ

空き家買取を専門業者に依頼した場合、一般的には以下のような流れで売却が進みます。

  1. 買取業者に査定を依頼する
  2. 査定額に同意すれば売買契約を締結する
  3. 空き家を引き渡す

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1. 買取業者に査定を依頼する

まずは、買取業者に査定を依頼します。査定を依頼する際には、以下の情報を伝えると話がスムーズに進みやすいです。

  • 物件の所在地
  • 土地の広さ
  • 建物の種類 (一戸建て、マンションなど)
  • 築年数
  • 建物の状態 (老朽化の程度など)
  • 周辺環境 (駅からの距離、道路状況など)

必要に応じて、 権利証や固定資産税納税通知書などの書類を提出する場合もあります。

また、一般的に査定方法は、以下の2種類が挙げられます。

  • 机上査定
  • 現地査定

机上査定は、物件情報や周辺の取引事例などをもとに概算の査定額を算出するものです。一方、現地査定は、実際に物件を訪問し状態を確認したうえで、正確な査定額を算出します。

2. 査定額に同意すれば売買契約を締結する

買取業者から提示された査定額に同意すれば、売買契約を締結します。売買契約書には、 売買価格・支払い条件・引き渡し時期などが記載されます。契約内容をよく確認してから署名・捺印しましょう。

不明点や不安な点があれば、遠慮なく業者に質問することでトラブルなく契約を進められます。

3. 空き家を引き渡す

売買契約を締結したあとは、所有権移転登記の手続きを行い、空き家を引き渡します。引き渡し前に、 電気・ガス・水道などのライフラインを停止し、家財道具や不用品をすべて搬出する必要があります。

また、 固定資産税など、未払いの税金がある場合は、責任を持って精算しましょう。

空き家の引き渡しと同時に決済も行えるため、買取金額を受け取れます。

空き家買取に関するよくある質問

ここでは、以下のような空き家買取に関するよくある質問とその回答について紹介します。

空き家を買取に出す前に、疑問を無くしておきましょう。

Q.自治体は空き家を買い取ってくれる?

自治体によっては、空き家対策の一環として、空き家を買い取る制度を設けている場合があります。例えば、長崎県小値賀町での事例が挙げられます。

長崎県小値賀町では、年々人口が減少して空き家が増えていました。そこで、空き家である古民家を観光資源として再生利用する活動を開始し、4軒の宿泊施設と1軒のレストランをオープンしています。
(参考:長崎新聞-「自然減」常態化「社会増」分を帳消し1400人維持へ町の取り組み続く

しかし、 すべての空き家が対象となるわけではありません。例えば、 倒壊の危険性がある空き家や景観を損なっている空き家など、一定の条件を満たす空き家のみが買取対象となります。

また、買取価格も市場価格よりも低い場合がほとんどです。自治体の空き家買取制度を利用する場合は、事前に担当窓口に問い合わせて、買取の条件や手続きなどを確認しましょう。

Q.空き家を個人で売ることはできる?

空き家は、個人で売ることも可能です。個人売買のメリットは、仲介手数料がかからないため売却益を最大化できる点です。

しかし、買主を自分で探す必要がある、売買契約などの手続きを自分で行う必要があるなど、手間やリスクが伴います。

また、不動産取引の知識がないと、金額設定や物件の瑕疵に関するトラブルに巻き込まれる可能性も考えられます。個人売買は、弁護士や不動産コンサルタントなどの専門家に相談したうえで行うと良いでしょう。

まとめ

この記事では、空き家買取の相場や高く売る方法について解説しました。空き家買取は、 スピーディーに空き家を売却したい方にとって有効な手段です。

しかし、仲介に比べて買取価格が安くなる、 買取不可となるケースもあるなどのデメリットも存在します。

空き家買取を検討する際は、メリット・デメリットをよく理解したうえで、自身の状況に合った選択をすることが大切です。空き家の運用・活用に悩んでいる方は、まず買取業者の無料査定を利用して、空き家の売却価格を把握することからはじめると良いでしょう。

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