分譲マンションの固定資産税の税額っていくらかかる?築年数や購入価格ごとによる計算方法を解説

マンションを所有すると多くのメリットがありますが、同時に所有者には様々な義務も生じます。

そのひとつが固定資産税という税金の納付義務です。この固定資産税はどのようにして計算されるのでしょうか?また税額はいくらになるのでしょうか?

この記事では分譲マンションの固定資産税の計算方法について解説するとともに、固定資産税額の変化や減額を受けられる制度なども解説していきます。

固定資産税とは?

マンションの購入は人生の大きなイベントのうちのひとつで、人生最大の買い物と表現される程重要です。

自宅を持つという喜びは大きいですが、不動産を所有すると固定資産税を支払う義務が生じます。毎年必要となる出費ですので、築年数や購入価格などの条件によって変化する固定資産税の税制度と税額を理解し、あらかじめ資金計画を準備することが大切です。

まずは固定資産税と、その計算方法について解説していきます。

固定資産税は土地や建物などの不動産を所有している人が支払う地方税です。

標準税率は1.4%(2023年時点)で、不動産の固定資産評価額により算出された課税標準額に基づいて課されます。

固定資産評価額は3年ごとに見直され、一般的には新築時よりも年数が経過すると評価額は減少していきます。

路線価という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?日本一高い土地がニュースで紹介される際などに耳にします。

この路線価が評価額と同義です。固定資産税が課税される全ての土地や建物には評価額が設定されます。

マンションの固定資産税の決まりや仕組みについて

分譲マンションの場合も固定資産税額の決定方法は同様で、市町村がマンションの評価額を算出します。

評価額に税率を掛けて税額が決まるため、例えば評価額が1000万円なら、固定資産税は1000万円×1.4%で14万円です。

ただしマンションの場合は、個人の持ち物となる部屋の他にも共有部分(エントランスやロビー、廊下、マンション内ゴミ集積所、駐輪場、植え込みなど)があります。

共有部分の固定資産税は、各部屋の所有者が持ち分に応じて分担します。

さらに、マンションの敷地に対しても固定資産税がかかりますが、これも各部屋の所有者が分担して支払います。

築年数など建物の状況によって固定資産税額は異なる

固定資産税は、建物の状況や市場動向によって変動します。

新築時は購入価格が評価額の基準となりがちですが、年月が経過するにつれて資産価値は減少するため、築年数が長い物件は新築と比較すると評価額も安くなる傾向です。

したがって同じ購入価格のマンションでも、マンションの築年数が異なる場合には固定資産税の額も変わってきます。資産価値が反映された評価額を知ることが、正確な税額把握への第一歩です。

固定資産税は所有するマンションの価値に基づいて計算されるため、建物の状態や市場動向により変動します。

マンションの購入価格が直接固定資産税の計算に直接的に影響するわけではありませんが、新築時の価格が高ければ高いほど初期の固定資産評価額も高くなる傾向があり、一定期間継続します。

不動産を購入する際には、現在だけでなく将来にわたる税金の負担を考慮に入れた上で選択をすることが大切です。

実際の税額を知るには、お住まいの市町村の税務課に問い合わせるか、不動産の固定資産評価額通知書を確認することが必要です。

また固定資産税の納税通知書は毎年発送されるため、納税通知書では最新の評価額や税額を確認できます。

固定資産税の支払いは不動産を所有する方の責任ですので、納税通知書に記載された内容を確認した後、期限内の納税を心掛けましょう。

賃貸マンションは固定資産税が発生しない?

一般的に「賃貸マンションは固定資産税が発生しない」と言われることがありますが、これは正確な表現とは言えません。

実際のところ、賃貸借契約を結んでいる借主については目に見える固定資産税の支払はありませんが、賃貸として運用していても課税対象となるため、マンションの所有者は個人法人を問わず、その物件に対して固定資産税を支払う必要があります。

新しいマンションやグレードの高い高額で購入した物件では、一般的に固定資産税も高くなりがちです。

そのような物件は賃料も高額ではないでしょうか。賃貸の入居者は直接固定資産税を支払うことはありませんが、間接的に家賃を通してその税負担を負うことになる場合が多いのです。

賃貸マンションを所有している場合、固定資産税の計算と支払いは大切な経営の一部です。

新築で分譲マンションを購入した場合の固定資産税

新築マンションを購入する際に気になるのが固定資産税です。固定資産税は市町村が定める評価額に基づいて課税されます。

新築物件の場合、評価額は一般的に購入価格の70%程度とされることが多いので、3000万円の新築マンションであれば評価額は約2100万円となります。

固定資産税の税率は1.4%で、さらに都市計画税が加算されます(都市計画税の税率は地域によって違いますが、例として0.3%とします)。

したがって、3000万円の新築マンションでシミュレーションしてみると、

固定資産税は

2100万円 x 1.4% = 29万4000円

都市計画税は

2100万円 x 0.3% = 6万3000円

となり、合計で35万7000円が年間の税額となります。

このように計算式を利用すれば購入したマンションの固定資産税を概算できます。

固定資産税の計算式は以下の通りです。

固定資産税 = 固定資産評価額 × 税率(1.4%)

ここで重要なのが固定資産評価額です。この評価額は市町村の評価基準により決められ、通常は不動産の市場価値よりも低い額に設定されますが、築年数や立地などにより変動します。

中古で購入した分譲マンションの固定資産税

中古マンションを買う場合、固定資産税は新築で購入した場合とは異なります。

例えば中古で3000万円のマンションを購入した場合、固定資産税の計算方法は以下の通りです。

まず固定資産税は物件の固定資産税評価額を基に計算されます。この評価額は多くの場合、市場価格よりも低く設定され、物件の築年数が進むと評価額は下がっていきます。

具体的な税額は、固定資産税評価額に基準税率1.4%を乗じた金額です。例えば3000万円のマンションが固定資産税評価額として2000万円とされた場合、

その年の固定資産税は

2000万円×1.4%=28万円

となります。

築年数による評価額の減少も考慮することで、購入後の税金負担をより正確に把握することができます。

大規模修繕工事をした中古マンションの固定資産税は安くなる

大規模修繕を施した中古マンションの固定資産税は、修繕後の価値に応じて見直される可能性があります。

例えば中古で購入した3000万円のマンションで大規模修繕工事を行った場合、その工事が物件の価値を高めたと評価されれば、その結果として固定資産税評価額が上がることがあります。

しかし修繕が経年劣化の修復に留まる場合、税額に大きな変動が生じないことが殆どです。

固定資産税の計算は、自治体が定める固定資産税評価額に基づいて行われるため、修繕工事の内容とその後の税額には直接的な関連性があります。

大切なのは修繕でマンションの価値がどれだけ変わるかを理解することです。

固定資産税は新築時が一番高いとは限らない

一般的にマンションは新築時の固定資産税が最も高いと考えられますが、これは必ずしも真実ではありません。

固定資産税は、物件の固定資産税評価額に基づいて計算されます。

この評価額は、分譲時には購入価格に近い額で設定されることが多いですが、築年数の経過と共に物件の価値が下がるため、評価額も徐々に減少します。

例えば新築マンションを購入した場合、最初の数年間は固定資産税が高いかもしれませんが、年数が経過するごとに評価額と固定資産税は下がる傾向です。

一方で地価の上昇が経年による評価額の減少を上回ることがあるほか、タワーマンションが低層マンションより人気になり部屋のある高さ(階数)によって価値が上昇するなど、特定の種類の物件に人気が出て価値が高まる場合や、中古マンションの価格がそのマンションが新築で分譲された時の価格より高額になる場合もあります。

したがって固定資産税が新築時に最も高いとは限りません。重要なのは固定資産税評価額がどのように変動していくかを理解することです。

中古マンションの引き渡し日によって買主も固定資産税を負担

中古マンションを購入した場合、固定資産税の負担について理解することが大切です。

日本では、固定資産税は毎年1月1日時点の物件所有者にその年の4月1日から1年分の税として課されます。

したがって引き渡し日が1月2日以降であれば、その年の固定資産税は売主に課税されることになります。

例えば6月に中古マンションを購入した場合、売主は納税通知書による通知を受けて、その年の固定資産税の一部を既に支払済みです(4回の分割で支払うため5月末期限の1回目は支払が済んでいると考えられます)。

ただし実際の取引では、売主と買主の間で日割り計算など条件を話し合い、買い主が自らの固定資産税負担分の費用を売主に支払うことで、起算日(1月1日または4月1日)から引き渡し日までの固定資産税を売主が引き渡し日の翌日から次の起算日前日までの固定資産税を買主が按分して支払うことが一般的です。

固定資産税が減額される軽減措置とは?

固定資産税は、国の政策によって様々な減額措置が講じられています。

期間が限られている軽減措置もあれば、制度自体の期間が定められていない固定資産税が期間を区切って減額される制度もあります。

いくつかご紹介していきますが、ご紹介する以外にも長期優良住宅制度など様々な制度があり、地方自治体独自の制度が存在する場合もありますので、所有する物件のある自治体での確認がおすすめです。

軽減措置による減額

固定資産税の軽減措置制度は、2026年3月31日までに新築された戸建て住宅・マンションは、固定資産税が50%軽減される制度です。

戸建て住宅の場合は3年間、マンションの場合は5年間、この減税が適用されます。

残念ながら2024年3月31日までで終了すると思われていましたが、無事に2年間延長されました。

小規模住宅用地特例による減額

小規模住宅用地に適用される特例措置です。

土地の部分の固定資産税については、住宅用地の場合は面積が200㎡以下の部分で1/6、200㎡を超える部分では1/3に税率が下がります。

この住宅用地特例は、住宅なら一戸建てでもマンションでも適用され、その土地が住宅用地として使用されている間は継続します。

マンションの場合は、住戸1戸につき200㎡まで小規模住宅用地という認定です。

省エネ改修促進税制による減額

省エネを目的にリフォームを行った住宅について、固定資産税を減額する制度です。

120㎡までの床面積で税額が1/3になります。

減税の対象となるためには省エネ効果の要件を満たす必要があり、手続きは煩雑ですが、対象となった場合にはリフォームを行った翌年1年間の固定資産税が減額されます。

バリアフリー改修促進税制による減額

バリアフリー改修促進税制は、バリアフリー化を目的としたリフォームを行った場合に減額を受けられる制度です。

100㎡までの床面積で税額が1/3になります。リフォームを行った翌年1年間の固定資産税が減額されます。

耐震改修促進税制による減額

耐震を目的としたリフォームを行った場合に固定資産税の減額を受けられる制度が「耐震改修促進税制」です。

固定資産税の減税額は1/2で減額される額は大きく、減額される期間が翌年から2年間と長いのも特徴です。

Q&A

ここでは分譲マンションの固定資産税に関する疑問について、Q&A方式でお答えしていきます。区分所有の場合、固定資産税の支払義務は誰にあるのかや、個別のケースごとに固定資産税はいくらになるのか、土地と建物で固定資産税は異なるのかといった疑問をお持ちの方が多いようです。

分譲マンションの固定資産税は誰が払うのですか?

分譲マンションの固定資産税を支払うのは所有者全員です。

具体的にはそれぞれマンションの部屋を所有している個人や会社に、所有している部分の割合に応じた固定資産税を支払う義務があります。毎年地方自治体から納税通知が届き、通常は1年分を4回に分割して納めるので、物件の購入時や売却時に年度途中での所有権の移転があった場合には、売主と買主の間で契約書にも記載の上日割り計算による税金の清算が行われるのが一般的です。

固定資産税は所有権に基づき課税されます。そのため所有者変更の際の税金負担についても適切な取り扱いが求められます。

マンション3000万円の固定資産税はいくら?

固定資産税は公示価格(路線価)に基づく評価額の1.4%で算出された金額です。

新築マンションの場合、新築時の評価額が高いため税額も比較的高めになり、3000万円で購入した新築マンションの評価額が2700万円となった場合、

固定資産税は

2700万円×1.4%=378,000円

になります。

一方、中古マンションの場合、築年数に応じた減価償却が考慮されて評価額が下がるため、新築に比べて固定資産税は安くなる傾向です。3000万円で購入した中古マンションが評価額2000万円となった場合、

固定資産税は

2000万円×1.4%=280,000円

となります。

これらは目安であり、自治体による条例や特例等で税率が変動することもありますので、正確な金額を知りたい場合は、購入予定のマンションがある市町村に問い合わせることをおすすめします。

1000万円のマンションの固定資産税はいくら?

マンションの購入価格が変わっても、固定資産税の計算方法は変わりません。

マンションの固定資産税評価額に対し1.4%の税率を適用して計算します。評価額は市場価格の約60〜70%とされることが多いため、1000万円のマンションであれば評価額は約600万〜700万円です。

したがって、概算で税額は84,000円〜98,000円となります。

ただし中古マンションの場合には、その年度の固定資産税は売主と買主で按分され、引き渡し日によって買主も固定資産税を負担することになります。さらに築年数に応じた減税措置が適用される場合があるため、正確な税額を知るには市町村に確認が必要です。

マンションの場合固定資産税がかかるのは土地か建物か?

マンションにかかる固定資産税は、建物の評価額と土地の評価額を合算した額に対して算出されます。

例えば建物が1500万円、土地が2500万円と評価されている場合、固定資産税はこれらの合計額に対して一律1.4%の税率が適用されます。

つまり4000万円のマンションの固定資産税は

年間約56万円(4000万円×1.4%)

です。

ただし減額制度などによって、計算通りの金額が課税されない場合もあります。

まとめ

マンションの所有者にとって避けられないのが固定資産税ですが、条件によって評価額が変わり、税額も変化することをご存じでしょうか。本記事ではマンションの固定資産税について、基本知識から税額の計算方法、特例や各種税制による固定資産税の減額をわかりやすく解説いたしました。

固定資産税は固定資産評価額 × 税率(1.4%)で計算されます。固定資産税評価額は市町村などの自治体が定めており、3年ごとに見直されます。評価額は管轄の自治体に問い合わせるなど調査を行うと調べられますので、マンションの購入を検討している場合などは、ある程度の固定資産税額を算出することができます。また新築の場合には、販売価格の6ー7割程度の金額が評価額になることが多いです。

新築でも中古でも、評価額によって税額が決まることは変わりませんが、一般的に中古の家の方が減価、つまり家屋の価値が低下して評価額が安くなる傾向があります。希に地価の高騰や販売価格の高騰などで新築時よりマンションの価値が高くなっているケースもあるので注意が必要です。購入時であれば、新築中古にかかわらず販売価格と評価額が比例しますので、販売価格から評価額をある程度割り出せます。正確に知りたい場合には、自治体への問い合わせをお勧めします。

固定資産税の特徴は豊富な減額制度です。話題となった新築購入の軽減措置の他にも、住宅用地特例による減額、各種リフォーム時に利用が検討できる減額制度など複数の種類があり、税制改正が行われることも多く販売した不動産会社でも把握できていない場合があるため、所有する不動産所在地の自治体で調べてみると良いでしょう。

以上の情報をマンションの購入や管理の際にお役立ていただければ幸いです。

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